3年? 10年? ∞年?
都市を離れて郊外や田舎の方に行くと、田園風景以外に目によくとび込んでくるのが、ベトナム人の「お墓」である。それも個人のものだけでなく、家族、一族のものとしてまとまった「立派」なものが多い。ガイドに、ベトナムでの葬法を訊くと、「一般には土葬」ということで、仏教国としては日本やタイとは違っていた。さらに訊いて驚いたのが、「北部や中部では亡くなった後、石棺に入れ、3年くらいたったら(これはハノイのガイドの説明。フエ、ダナンのガイドの説明では10年、と言っていた)骨だけになったものを取り出して綺麗に洗ってから最終的な墓に納める。」のだという。沖縄でかつて一般にやっていたという「洗骨」という葬法を思い出し、関連を調べたくなった。ちなみに、ホーチミン市のガイドに訊いたら「洗骨をするのは、土葬だと墓のスペースが広く取られ、だんだん墓地が限られるからだ。南部ではまだ土地がたくさんあるので、そのような洗骨の習慣は無い」とのことであった。
毎日いくつもの墓地や墓を車の中から見ていて、石棺だけ野ざらしのもの、墓標が立っているもの、立派な装飾の「門構え」で多くの墓を囲っているもの、などの区別が見えてきた。いずれも車内から撮った写真のため、手振れや構図が悪いものだということをお断りしておく。またそれぞれの写真のキャプションは私の想像である。

ここは石棺が野ざらしになっているものばかりである。遺体の「風化」中のものであろうか?

これはちゃんと墓標がある。洗骨を終えられて、最後のやすらぎの場所に葬られているものだろうか? また、それぞれ囲いによって区分されている。家族または一族の墓域を示すものであろうか?

龍や鳳凰を装飾した門や建物を建てた墓。手前右のものしか墓標が見当たらないが、一族の墓だということを示しているのだろうか?

今回見た中では一番「豪華な」建物や彩色を施された墓。手前の二つの墓は写真入りの墓標が付いている。裕福だった家族のものであろう。
なお、「洗骨」葬の習慣は、沖縄・奄美から台湾の先住民、フィリピンの山地民族、中国の南部の少数民族、そしてベトナム、さらにはパプアニューギニア、メラネシア、ミクロネシア、またそれらの人々が移住したと言われるマダガスカルなどに及ぶ、広いがけっこう国際的に見れば特定地域の文化だという説明に接した。今後、専門的論文も読んで深めて見たくなった。