赤い看板に書かれていたこと


 ベトナムは歴史から分かる通り、ホーチミンの創立した共産党が政権を握っている国である。そのため、都会から地方に至るまで、ホーチミンの肖像や、ベトナム共産党のシンボルである赤地にハンマーと鎌のデザインの付いたポスター、看板がいたるところにある。この風景を語らずしてベトナムの様子は知らせえない。そして、それらがベトナムの人々にどんなことを語っているかを知ることはベトナムについてより深く知ることになろう。しかし、私はベトナム語が全くできない。ただし、翻訳機は持っていて、ベトナム語にも対応している。それで、旅行の途中で、これらのいわゆる「赤い看板」をできる範囲で撮りまくって40枚くらいになった。日本に帰ってから、翻訳機を使ってできる限りで内容を読むことにした。その作業が終わったので、以下に、内容ごとにまとめて紹介したい。
 ただ、断っておくが、私はベトナムが独立したことに対しては評価し、敬意を持っている。しかし、ベトナム共産党については、その後のことについて詳しく知っているわけでは無いので、美化したり支持したりする立場ではない。また、逆にそれを批判したり、揶揄したりする気もない。ただ、好奇心からベトナムのことをもっと深く知りたい、と思って淡々と紹介するのみである。もし、ベトナム語ができる方がこのサイトを御覧になって、内容を間違って紹介したものがあると考えられるならば、ぜひご指摘願いたい。繰り返しになるが、私は意図的にベトナム共産党の宣伝、呼びかけを特定の立場で脚色する気は毛頭ない。誤りがあるとすれば、全くのベトナム語素人の私の力の限界からである。

街のすみずみまで、赤地に金の星のベトナム国旗(金星紅旗。赤は革命のために戦った人民の流した血の色。五つの光は労働者、農民、知識人、青年、兵士の団結を示す)と、赤地にハンマーと鎌(労働者と農民を示す)のベトナム共産党旗が翻っている。

 ベトナム戦争を毎日ニュースで聞いてきた年代の者からすると、ホーチミンの「独立と自由ほど尊いものはない」という言葉は良く知っている。そして、この言葉に導かれてベトナムの独立を願う人々が戦っていったことも知っている。ただ、街中には、どこにもこの言葉を書いたポスター、看板は見当たらなかった。今となってはホーチミン市のどこで撮った1枚か全く分からず残念なのだが、1枚だけその言葉をバックにしたホーチミン像を撮影していた。憶えているのは、街頭でではなく、何かの店、公共施設、ミニ博物館のどこかの中で、直感でこれは「独立と・・・」ではないかと思って撮ったら当っていた、ということである。


 ホーチミンの肖像とともに書かれたもの中で、「なるほど」と思ったのが、2025年はベトナム独立宣言発布(1945年)80周年、ベトナム統一(1975年)50年にあたるので、これを祝うものであった。


  

9月2日は1945年に独立宣言が発布された日。右はフエ空港のもの。「8月革命成功80周年、ベトナム社会主義共和国記念日にようこそ」とある。

ホーチミンの言葉の引用か、と想ったら、単純に「ベトナム社会主義建国記念日」とあるもの

 

(左)「8月革命とベトナム社会主義共和国建国記念日を心から歓迎する.独立-自由-幸福」
(右)女性たちの後の赤い地のところには「独立80周年おめでとう。」とあり、右の赤字は「独立と国家統一の時代から国家隆盛の時代へ」というスローガンが書かれている。


 一般的なスローガンで、国民によびかけるものがあった。

 

(左)「全党、全人民、全軍、共に築き守ろう ベトナムの祖国」(上に「問い合わせは9033・・・」)   (右)「ベトナム社会主義共和国を防衛することは、全ての国民の神聖な権利であり義務である。」


 2026年1月19日~25日にハノイでベトナム共産党全国代表大会が開かれ、2026年~31年の国家方針と指導部の人事などを決定する予定であり、(サイト「VIET BA 2025.12.23」より)これを歓迎する掲示があった。

左のホーチミンと共産党シンボルを掲げる看板がそれ。「ベトナム革命のあらゆる勝利の指導者および組織者であるベトナム共産党第14回全国大会を温かく歓迎する。」道路の上の赤い横断幕には、「第14回大会の二つの重要点、新時代の始まり、国家革命勃興の時代」


「2025-2030 第14回全国代議員大会に向けて」


 全国大会の課題であろうか? 具体的な課題への支持を表明するものもあった。

「行政単位の再編は国家の発展のためのステップである。」

 

 私が撮影したものの中で圧倒的に多かったのが、この全国大会に合わせて事前に行われる、各地方の大会に関してであった。その地方の大会を歓迎するもの、関連するスローガンを掲げているものなどがあった。

 

(左)「ヴィンロン省党委員会第1回大会(任期2025-2030)を温かく(または熱烈)歓迎」  
(中)「ベンチェ市党委員会第1回大会(任期2025-2030)を温かく(または熱烈)歓迎する」 (右)「ベンチェ市党委員会第1回大会(任期2025-2030)を温かく(または熱烈)歓迎する スローガン 団結 民主主義 規律 突破(革新?) 発展」 この二つには、ベトナム国防省直轄の「VIETTELの5ギガのWiFiが家庭全体をカバーする優れた品質」ということも書かれている。

 

(左)ミトー地域代表者協会 第14回党大会までの各級党大会歓迎  
(右)ダクロンコミューン党委員会第1回代表者会議 (1925-1930年)を温かく(または熱烈)歓迎。団結、民主主義、規律、革新、発展。そして第14回全国党大会! コミューンの人々は大会の決議を成功裏に実行する決意である。」

上の赤地には「ハノイ市 党委員会-人民評議会-ベトナム祖国戦線委員会」真ん中の党シンボルには「ハノイ市内で開催される大会を熱烈歓迎 第18回大会」
下の赤地には「すべては目標のために 清潔で平和で公平で文明的な国に」 右の大きな看板には「こんにちは ベトナム民族解放戦線代表協会(任期1925-1930年)」


 

(左「すべては繫栄した国家を強く民主的で公正で文明化の中へ  フオン・ディエン・ホン? 党委員会第1回大会を熱烈歓迎」) (右)各級党大会熱烈歓迎

「市軍事党第1回大会歓迎」

 「大会に向けてすでに努力している」旨のアピールもあった。

 

(左)「役員、組合員、労働者はディエンビエン省党委員会党大会を歓迎する競争で優れた結果を達成するため努力しています。」少数民族も登場させている。
(右)「全党全人民全軍は、2025年の経済、社会課題の遂行において成果を競い合うよう努めている」(ここには国内第2位のvinaphoneの宣伝が付いている)

「我々は愛国競争運動を強化し、各級第1回党大会、そして第14回全国大会を迎えるために成果をあげています」

(左)「党委員会、政府、国民 ベンチェ区病棟建設の決意 日々より豊かに より美しく より文明的に」
(右)「全国の有権者が投票を行う第6期国会議員(任期2026~31年)選挙」


 なお、ベトナム国会議員選挙の立候補は自由ではない。あらかじめ、組織の審査を経て通らねばならない。前回の選挙前のベトナムメディアは、次のように報じている。「ベトナム祖国戦線(VFF)の中央委員会委員長であるチャン・タン・マン氏は、2021年から2026年までの任期における国会および各級人民評議会の議員選挙に向けた候補者の選考・指名に関する協議の実施において、VFFの各級支部がその責務を果たさねばならないと述べました。・・・ 同氏は、全レベルのベトナム祖国戦線支部に対し、選挙の監督活動への参加を求めるとともに、同レベルの人民委員会・人民評議会と連携し、候補者指名に関する協議組織を設置し、客観性・公平性・正確性を確保するよう指示しました。 関係者によりますと、ベトナム祖国戦線中央委員会常任委員会は、候補者指名に関する協議業務を規制・指導する計画及び文書を発行しました。」(Viet Nam News(政府系英字新聞)2021.1.14付サイトより)


  


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