龍の出した宝石からできたというハロン湾
「ハロン湾・カットバ諸島は、面積65,650ヘクタールに及び、1,133の島々や小島を含み、ベトナム北東部・・・に位置しております。海からそびえ立つ大小さまざまな石灰岩の島々や小島で構成され、絵のように美しく手つかずの自然を呈するハロン湾・カットバ諸島は、自然が作り出した壮大な海景です。」(ユネスコのサイト「Ha Long Bay - Cat Ba Archipelago」より) これは世界自然遺産である。
ハ(降りる)・ロン(龍)の名は、かつて外敵が攻めて来たとき、龍の親子が天から降りてきて敵に火を浴びせて排撃し、敵が打ち倒されると、巨大なエメラルドが現れ、湾全体に散らばった。伝説によれば、これらのエメラルドは母龍とその子らの歯であったという。これらは侵入を阻む不壊の障壁として残され、将来の侵略を阻止した。地に平和が戻ると、千年の歳月を経て、これらのエメラルドは島々へと変容し、今日でもハロン湾を訪れる人々を魅了し続けている、という伝説に負っている。
(サイト「The Legend of Halong Bay: Discover Myths Behind The Names」
https://www.visithalongbay.com/insight-guides/the-legend-of-halong-bay.html?utm_source=copilot.comより)
その科学的な形成過程の説明は次の通り。
「ハロン湾のカルスト島は、5億年にわたる多段階のプロセスを経て形成されました。
第一段階は、・・・5億~4億年前にこの地域が熱帯の海に覆われていた時代に、石灰岩が堆積した過程です。海洋生物が炭酸カルシウムの堆積物を沈殿させ、それが圧縮されて数百メートルもの厚さの石灰岩層を形成しました。
第二段階は、地殻変動の力が海底を隆起させて山脈となり、石灰岩が水面上に現れた時期に起こりました。
第三段階は、隆起した石灰岩が侵食を受けることで始まりました。雨水による化学的風化作用が岩石を溶解し、初期のカルスト地形を形成したのです。
第四段階では、海面上昇により侵食されたカルスト地形の下部が水没し、水に囲まれた塔状の岩が立ち並ぶ現在の海景が生まれました。
その後、波の潮汐作用が特徴的なアンダーカット(岩盤の底部浸食)を刻み込み、ハロン湾のカルスト地形に特有のキノコ型の輪郭を形成したのです。」
(サイト「HA LONG BAY Geological Formations Karst Towers」
https://www.machupicchu.org/ha-long-bay-geological-formations-karst-towers.htm?utm_source=copilot.comより)
このハロン湾を巡るクルーズには、3時間コース、6時間コース、そしてクルーズ船での宿泊をともなうコースがある。限られた時間でベトナムを回る私は、「ハロン湾を展望する場所に行く」という触れ込みに魅力を感じ、6時間コースを選択した。このコースは3時間コースとは違うルートをたどるものであった。どのガイドブックにも載っている「香炉岩」「闘鶏岩」などの見学は無く、代わりにLuon Cave という、下に穴の開いた崖の下をくぐって自然の猿がいる島に近づいて餌をやったり、ボーホン島というところに上陸してSung Sol Cave(スンソット洞窟)という約10,000㎡のハロン湾最大級の鍾乳洞を巡ったり、Ti Top Irelandという、白砂の海岸と360度の展望ができる島に行くというものであった。
私の参加したクルーズは、SEA OCTOPUS社のもので、船は4階建て。

けっこう広い食堂。ただ日本人には1人もお目にかからず、中国系の人々ばかりで、フィリピン人の女性歌手の歌のショーも船内であり、盛り上がっていた
9時に出港して、すぐに、イメージしていたような景色が見えてきた。この日は11時ころまで曇天だった。今思えば、墨絵のような感じで見られてよかったかも。
最初の見学スポット、Luon Caveが近づいてきた。ボートに乗り替え、あの島の下の狭い隙間をくぐっていくのである。
島の下をくぐる体験はめったにできないので、つい撮影に夢中になっていると、次の写真を撮った直後に、頭の右の前の方を上にぶつけて、いきなり痛みが走った。今思うに、痛かったが、触ってみると傷ができたらしいところからは出血していなくて、痛みもしだいに和らいでいった。運が良かったと言わざるを得ない、この文を読んで、ハロン湾のこのようなクルーズに参加する方、とにかく気を付けて下さい。
いきなりの個人的事故で、少しショック状態になったが、私におかまいなしに進んだボートは、自然の猿のいる島に近づいた。バナナなど果物を投げると器用にキャッチし、届かず海に落ちたバナナなどは枝に腕を伸ばして掴まり、もう一方の手を海に伸ばして取る。かなり人に慣れているようだった。その後、周りを岩に囲まれた穏やかなところでボートは止まって、お客に周りの景色を見学させた。私はこの景色を見ると痛かった頭を思い出す。
次に向かったのは、Sung Sol Cave3である。全員さきほどのボートから戻ってまた乗ったクルーズ船から降ろされ、いきなりかなり長い階段を上らされた。ただ、この上から見た景色は、雲が晴れて日が照ってきたこともあり、私にとってはこの日一番の絶景であった。欲を言えば、ほかのクルーズ船が無い方が純粋に景色を楽しめるのだが、やむを得ない。

この後、これまた階段や小道を上がったり下ったりして、大規模だ、という鍾乳洞を見学したが、正直、私はあまり興味がなく、いろいろな形に鍾乳石が似ている、などの説明を聞いても、感動しない。そりゃ、いろんな多くの岩があるのだからこじ付ければ何か似てるものがあるさ、など捻くれた考えが根本にある。疲れたから早く出口に行かないかな、などということばかりを考えていた。
私にとっては「苦行」に近かった鍾乳洞巡りが終わり、船に戻ると、バイキングランチの時間となった。これは手放しでもう嬉しい! 私が付けたベトナム人日本語ガイドの指示に沿って、名前入りで指定された座席を確認した後、みんなが並んでいるから美味しいんだろう、と解釈した、ローストビーフと蛸の煮物らしきもののところに行って、まずお皿1枚を満たす。あとは、おもむくまま、あちこち行って次のように自分でランチプレートを作った。バイキングというのは何かウキウキさせてくれる。私もサーモンを少し取ったが、他にも数種類生の刺身が出されていた。やはり、本来、生ものを食べない中国人が、日本の味を憶えて食べるようになったらしい。まあ、全体の味は不味くは無かったが、見た目ほどは・・・というところであった。

食後の13:00すぎ、希望者だけが、Titop Islandにまたボートで出かけた。ガイドは「このハロン湾では珍しい白砂があり、夏は皆水着に着替えて泳ぐ」と説明した。もちろん、私のクルーズは12月であり、そんなところなら、遠くから見るだけでいい、と私は行かなかった。ただし、後で、様々なサイトを見ると、上るのがけっこうたいへんだが、360度見渡せる展望台があるということを知った。ガイドも私と一緒に疲れる登りをしたくなかったからその説明をしなかったのか不明だが、ちょっと惜しかった、という気持ちは今残っている。私は、さきほどの写真を撮ったところが「ハロン湾を見下ろす展望」のところだと思ってしまったのだが、どうもこの島に行くのが展望の本命だったようだ。ただ、この日、鍾乳洞歩きでかなり疲れていたので、もし分かっていても行ったかどうかは何とも言えない。また、ガイドが、「船から降りたら、ハロン湾を見下ろせる展望車に乗ろう」と勧めていたので、こちらに期待をしていたのであった。のんびりと船内で1時間くらい過ごして、おやつの時間が来て、コーヒーとロールケーキを食べたが、こちらはけっこう美味であった。
行かなかったTitop Island

おやつに出た、ロールケーキと、甘いコンデンスミルク付きベトナムコーヒー
16:00、クルーズは終わり、下船してから、ケーブルカーに乗って観覧車へと乗り継いだ。ただ、かなりここも人気スポットのようで、待ち時間が長く、観覧車で最高部に来た頃には、日もかなり暮れて、おまけに霧?まで出てきて、眺めはいまいちだった。ハロン湾よりも、上から眺めて分かったハロン市のタワマンなどマンション建設ラッシュを目にしたことの方が印象に残った。

観覧車最上部からのハロン湾とハロン市の眺め